(大分市都町連合会)都町を見すえる防犯カメラ64台 朝日新聞2015年12月9日(水)「報道」

朝日新聞2015.12.9

2015年12月9日(水)朝日新聞 33面

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都町を見すえる防犯カメラ64台
先月、6台から一気に「監視されてるよう」の声も

県内最大、九州でも有数の歓楽街・大分市都町で、防犯カメラが大幅に増設された。一昨年から6台で運用してきたが、先月、一気に64台にまで増やした。「安心・安全」の街づくりを進めるという店のオーナー有志の取り組みだ。捜査上の必要があれば警察にも録画映像を提供する考えで、約1千の店がひしめく師走の都町を見すえている。

肩を組み合って歩く背広姿の男性、花束を持って急ぎ足で通りすぎる女性。忘年会シーズンを迎えた都町では、道路脇に並ぶ照明灯の上、高さ3メートルの場所から防犯カメラが行き交う人々を視界に捉える。
都町の飲食店従業員の男性(30)は、「こっちを見ていた」という理由で30分近く男性の集団に囲まれ、肩を揺すられたことがあるという。「酔って歯止めがきかない客は怖い。路地裏も映せるよう、防犯カメラをもっと増やしてほしい」
いつも都町で客待ちをするというタクシー運転手の男性(61)は「防犯カメラがあれば、トラブルに巻き込まれても泣き寝入りしなくて済む」と話す。昨夏、若い男性が突然車によりかかるように倒れ、車体後部が数センチへこんだ。「酔った相手だとまともな話し合いにならない。今後は防犯カメラの映像が証拠になるかもしれませんね」

約1千店舗がひしめく都町は、酔った客同士のけんかや強引な客引き、交通トラブルに悩まされてきた。大分中央署によると、都町の犯罪認知件数は2012年が84件、13年が73件、14年が66件。暴行、傷害、器物損壊事件が多いという。
一部の店舗の有志でつくる大分市都町連合会は、13年3月から防犯カメラ6台を運用。国の補助金を含む約2560万円を投じ、先月からさらに58台増やした。夜でも歩行者の顔、車のナンバーを判別できる精度で、24時間稼働する。都町エリアの真ん中にあって樹木が茂るジャングル公園の中も映しているという。
同連合会の久保田俊昭会長は「年末は、酔った客が店の置き看板を蹴って回ることもある。防犯カメラでこうした行為を抑え、誰でも安心して立ち寄れる明るい街にしたいです」と話す。

映像はすべて録画して10日間保存し、別の場所につくったモニター室で一括管理する。6台の防犯カメラを運用している時から、事件を捜査する県警からの映像提供の要請は年60件ほどあったという。久保田会長は「今後も要請があれば積極的に提供する」、大分中央署も「防犯カメラは犯罪検挙に向けて大変重要になる」と話す。
ただ、都町を訪れる人には「監視されているようで楽しい気分になれない」という声もある。プライバシー保護の観点から防犯カメラの運用のあり方を検証するため、今後、弁護士らによる第三者委員会を立ち上げる予定だという。

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